東京開業ワンストップセンターは、会社の設立に必要な各種手続を一か所で行える相談窓口です。
2017年には渋谷と丸の内にサテライトセンターも開設、より利用しやすくなりました。
相談にみえる外国人の方も多く、今回はそんな外国人起業家のお一人、ヴォロシオフ・イーゴリさんにお話を伺いました。

  • 株式会社LikePay ヴォロシオフ イーゴリさん PDFダウンロード

    プロフィール/23歳のヴォロシオフ イーゴリさん。学部生の時に日本で1年間交換留学。昨年日本に戻り、サスティナビリティ学の修士プログラムで東京大学大学院に入学。イーゴリさんは、多忙な学生としての生活の傍ら、東京開業ワンストップセンターを利用してフィンテック事業で会社を起業。3人の仲間と、「LikePay」と呼ばれるソーシャルメディア上の「いいね」をユーザーの利益として還元するアプリを開発している。

起業は自分にとっての夢でした

起業について本格的に学び始めたのは、東京で開催されたスタートアップ企業のスピーチイベントに友人と参加した時から。長い間起業を夢見ていましたが、人生経験を多く積んでからでないと挑戦できないのでは、と感じていました。ただ起業人達のお話を聞いているうちに、思っていたよりも起業は難しいことではないように思えてきました。起業のアイデアを思いついたとき、是非やろう!と兄に話を持ちかけ、徐々にアイデアが固まっていきました。

今年の春、その兄と共同で起業をすることになりました。兄はエンジニアとして、私はビジネスのマネジメントとして機能を分けることで、うまく仕事の役割分担ができました。今では、ロシアに従業員が1人と、日本に現地スタッフが1人ずついます。

ソーシャルメディア上の「いいね」を価値化するサービス

LikePayは、Instagram、Facebook、Twitterといったソーシャルメディアで獲得した「いいね」を、お店で使えるポイントに交換するサービスです。たとえば、カフェで取った食事の写真が「いいね」を獲得すると、同じお店で割引に使えるポイントに転換。「いいね」の数が1円、5円、10円といったクーポンに変わり、お店で使える仕組みです。お店によって、1つの「いいね」の値段は相談して決めています。

食べ物の写真をソーシャルメディアにアップする文化は、特に日本で定着しています。普段何気なくしている「写真投稿」が、LikePayを使うと報酬につながります。ユーザーがクーポンを受け取る度に、お店は手数料としてLikePayに料金を支払うため、お店にとっても利益が上がるまでリスクはひとつもありません。このシステムが従来のPRと違うのは、お店に手数料が発生するのがサービスや商品に好感を持った人の「いいね」数だけであること。お店としては、無駄なPRにお金をかけずに済みます。既に小売店やカフェ、ビューティサロン等の10社の顧客が参加を表明しており、2018年11月からアプリの運営を開始予定です。

東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)との出会い

東京開業ワンストップセンター(TOSBEC)のことは、スタートアップ企業が集まるイベントで出会った方にお聞きしました。どのようにビジネスを始めれば良いか分からず、相談できる人が必要だと思っていたので、さっそくTOSBECで30分間の相談の予約を取りました。

訪問した当日はあまり混雑していなかったため、3時間みっちりと、ほぼ全てのブースを回り相談をしました。30分を大きく超えた相談だったにも関わらず、スタッフの方は丁寧に対応してくれました。最終的にはTOSBECに7回ほど通ったのではないでしょうか。入管のことから定款のことまで、さまざまな手続の相談に乗ってもらいました。

TOSBECのスタッフは書類のチェックをして、登記・定款など一つひとつ修正するポイントを教えてくれました。親身になって一緒に書類を作り上げてくれる姿勢はとても助かります。

資金集めで直面した壁

起業のために必要な書類を揃えたとはいえ、まだ学生であることもあり、いくつか問題に直面しました。まず、私が学生ビザで就学中のため、会社の取締役になることができませんでした。思案した末、一緒に事業を行う予定のロシアにいる兄が、会社の取締役になることで解決しました。また、起業時の資本金が少なく、バーチャルオフィスを利用していたこともあってか、銀行からはなかなか融資を受けられませんでした。10行の銀行から融資を断られた後、幸運にもエンジェル投資家から、資金を得ることができました。

日本で会社を始める時に気をつけてほしいこと

日本で会社を始める際には、さまざまなコネクションを作るのが重要です。バーチャルオフィスではなく、個室のオフィスを借りて、日本人の方や、日本に住んでいる方に取締役になってもらうのも手かもしれません。

ぜひTOSBECを活用してください。本当に親切なサービスが受けられます。東京都は他にも無料でビジネス相談に対応する施設を運営しています。プロに相談をすれば、1度のコンサルテーションで3万円ほどかかることも少なくない中、無料で相談に対応してもらえるのはかなりお得です。最後に、起業をしたいのなら、できるだけ日本語を使うことをお勧めします。日本語を一生懸命話している外国人なら、もっとあなたのビジネスに手を貸してくれる人が増えるはずです。